卒酒ブログ

17年間お酒に溺れた男の物語

現場監督との交友録

私の生まれ故郷は東京から新幹線で一本で

来れる立地で、ホテル旅館が衰退して行く

なか、リゾートマンション建設が目立って来た。

 

自分の行きつけの居酒屋にも建設関係の人が

よく来ていた。

 

その中でも気があった現場監督がいた。

 

当時は連日連夜飲み、朝までどんちゃん騒ぎを

して、そのあとファミレスで飲むのが定番だった。

 

現場監督も居酒屋で飲んで、行きつけの

スナックに行く日々が続き、地元ではなかったが、夜の住人達と交友を深めていった。

 

よっぽど私の地元を気に入ったのか、会社を

辞めて、なんと居酒屋を開店してしまった。

 

開店して自分も地元の夜の住人達もお祝いがてら飲みに行った。

 

嬉しそうにカウンターで仕事をしていて

奥さん直伝のチヂミなどを振る舞ってくれた。

 

だが、ある時から店に行くとテーブルに

「ご用の方は、連絡下さい」と言う置き手紙

があるようになり、足が遠のいていった。

 

店の看板をつけ、カギも開けっ放しで、店に居ない事が増えていった。

 

私もなんとなく分かっていたが、その元現場監督はスナックに飲みに行っていた。

 

その頃から、奥さん直伝のチヂミがなくなり、

代わりにスーパーの半額や30%OFFになった

惣菜が出るようになった。

 

ある時は店に行くと、カウンターで焼酎の

ペットボトルを飲んで、ヘベレケになっていた。

 

ここの店でカラオケを歌うと隣の住人が

警察をすぐに呼び、それこそ毎晩通報されてる

勢いだった。

飲んでると警察が申し訳なさそうな顔で、

しょっちゅう元現場監督の店にたずねてきた。

 

そうした、ストレスと元々の酒飲みの性分が

重なり開店から半年もしない内に店をたたんで

しまった。

 

酒飲みの人間が店をやると、自由に酒を

飲める環境になるから、破滅して行くケースが多い。

 

創業40年を超えるスナックのマスターに

店を長く続ける秘訣を聞いたら、

「酒に飲まれない事」その一言だけだった。

 

現場監督が店をたたみ10年以上の歳月が

たつが今何をしてるかと、ふと思いだす。

 

お酒は楽しい時間を作ってくれるが、

間違えると色んなものを失なってしまう。

 

私も色々と失ってきた。

 

これからはお酒のない人生をおくり、

謙虚に生きて行きたいと思う今日この頃であります。