卒酒ブログ

17年間お酒に溺れた男の物語

パトロンの正体

私の地元にはホテル旅館が数多くあり、

衣食住が整っている職場が多数あった。

 

その為、カバン1つで流れ着いてくる訳ありの人もいた。

 

夜の街も地元出身者ではない人が店をやる事も珍しくはなかった。

 

そんな地元で10数年程前にYさんと言う、

長年水商売をやってる人と出会った。

 

このYさんも地元出身者ではなく流れ着いた

1人だった。

 

私より10才以上年上のYさんの出で立ちは

ロックンロールといった感じで、耳はピアス

だらけだった。

 

その明るいキャラクターとよく飲むYさんは

夜の住人達からも人気だった。

 

私の地元のスナックで雇われマスターや

ホストクラブで働いていたが、所詮は地方の

温泉街であまり稼げる町ではなかった。

 

一時は仕事が無くなりホテルにアルバイトに

行っていたが、お酒が大好きなYさんは

また、夜の街に戻っていた。

 

このYさんもお酒を飲むと目が座り飲まれる

タイプの人で、一度Yさんの働いてる店に

飲みに行った時に、いきなり殴ってきて

ケンカになった事があった。

 

でも、普段は至って普通の人だった。

 

夜の街に戻ったYさんは持ち前のキャラクターで夜の街で頑張っていたが、風の噂で給料も

安くジリ貧だったらしい。

 

着てるスーツにも穴が開いていた。

 

ところがある時を境に高そうなダブルのスーツに、プラチナの喜平のネックレスに、ブランドのカバンと、いきなり羽振りが良くなった。

 

夜の街ではYにパトロンが出来たとか、金持ちのおばさんがお客になったとか、Yさんの話で持ち切りになっていた。

 

実際に年上の女性を連れて歩くようになった

Yさんは生活が派手になっていた。

 

その年上のおばさんがYさんの勤めていた、

店の下にあるラブホテルで仮眠をとっていて

決められた時間に起こしに行くだけで、

1万円からのお小遣いをもらえるとYさんは

豪語していた。

 

しかし、そんな生活も長くは続くはずはなかった。

 

夜の街では、そのパトロンのおばさんが

寿司屋のホールスタッフなのに、どっから

そんなお金が湧いてくるのか話題になっていた。

 

そして、Yさんのパトロンは警察に逮捕されてしまった。

 

Yさんに貢いでいたお金は全て店の売り上げを横領したものだった。

 

Yさんも元のジリ貧ホストに戻ってしまったが

そっちの方が人間臭くで好きだった。

 

世の中に上手い話などあるわけない。

 

地に足をつけてコツコツと生きていかなければならない。

 

そう思わしてくれる出来事だった。